
去る7月8日、長野県飯山市なべくら高原の巨木の谷へ往診に行く樹木医に同行するブナ保全のボランテイアに参加しました。
日本の真ん中に位置し、豊かな森と文化を誇るこの地。しかし、森が国有林であるが為、伐採の危機にさらされた過去があります。伝統的にこの山の恵と共存して来た里の方々は里山としての必要性をく強くうったえ、そのおかげで今も美しい景色が保たれています。
その時の調査で発見された樹齢400年を超えるブナの谷の巨木は森太郎,森姫と名ずけられ、以来森林保全の象徴となっています。
美しいブナの葉はCO2を減らし、落ち葉になって小さな生き物の営みの場となり、柔らく水を吸い下の草木を育てる腐葉土になります。保水力に富み下流の暮らしと生物に影響を与える事から、ドイツではブナは森の母と呼ばれているのだそうです。
植物をヒーリングのツールとして使い仕事をさせていただいている者として自然界に何かを返さなくてはという気持ちがあり「なべくら高原・森の家」へ問い合わせ、参加させて頂きました。
当日、保全ルートの整備を手伝い、シードトラップに入った落下物を集めました。世代交代の仕方を知るために信州大学で組成を調べて頂くのだそうです。
往診中の樹木医が皆を集め話しました。「巨木、森姫は時間の問題となりました。」
近年増加した入山者による根元の踏み固めが原因とみられ、硬い土と痛め付けられた根では水を吸い上げることが難しく、葉が小さく少なく栄養を下に下ろせない悪循環で衰弱したのです。
白く滑らかな森姫の表皮は片側が朽ちて中の空洞が簡単に見える程になっていました。
両腕を広げ、巨木の幹に身をゆだねて樹齢300年のスピリットを感じたい。気持ちは解ります。しかし相手は上に広げた枝葉と同じ範囲を地表下5cm~60cmに根を張る樹木。踏まれて生命の危機にさらされても叫び声をあげない者。
枝葉の勢の衰えた森の女王は人の無知の罪とモラルの低下を嘆いている様に見えました。
新しいアウトドアスポーツの宣伝や、一部のスピリチュアリテイの向上は私たちを更に森へといざないますが、知ること、相手に配慮した行動を取る事を心がけ森へ入ることにいたしませんか。他人の生活圏に立ち入って行くのは私達の方なのですから。
今回森姫は残念な診断を受けてしまいましたが、見ると10年前は硬く黒い土が露出していたという樹の下は保全活動の成果により小さな草木が生え、巨木の枝の間から射す太陽の光が若い葉を照らしていました。
今回、巨木と森を守る人達から受け取ったものは、知る事、相手に配慮した行動を取る事の大切さです。保全の為なら入り口を塞ぐだけで良かったかも知れない。しかし、伝える必要性を思い活動を続けてきた人達に心から感謝します。
フィールドを都市に移しても同じ事が言えると思いました。ヒーリングでも地に足をつける事はとても重要です。受け継がれて来た暮らしを少し振り返り、知る事、配慮ある行動を取ることが精神性を取り戻し、自身も社会も持続可能な方向へ向かう選択が出来る様になるのではないでしょうか。
日本の真ん中、高い所で自然と文化を守る人達がいる事はとても勇気が湧くことだと思いませんか。
日本人なら誰もが知っている、うさぎ追~いし・・の唱歌「ふるさと」の作者はこの地の小学校に通い後に教鞭を取ったそうです。
10年前、セラピストになることを決めた時、幾つもの気づきを与えてくたのもこの地域の森です。
美しい森の里には今も夏の草花が茂り、太陽に照らされ香気を上げていました。流れてゆく千曲川の澄んだ水は視界から離れたずっと先で日本一長い一級河川、信濃川に名前を変え地域を潤し格上の米を育て海に流れ出てからも生態系に影響を及ぼすのです。
セラピスト Y